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「先生ってほんとズルいですよね。あんなの、反則です」
私は先生が入れてくれた紅茶に口をつけながら、先生のことをじっと見た。
『あんなの』とは、もちろんプリントに書かれた先生からのメッセージのこと。
それに対して、先生は何食わぬ顔だ。
「そう?でも、あれならバレないだろ?」
「まぁ、そうですけど…でも、ビックリしてドキドキしたんですから!心臓に悪いです!」
私はそう主張するけど、先生はやっぱり動じない。
詫びるどころか、クッと笑って、してやったり顔を浮かべる。
「たまにはああいうのもいいと思って。…でもさ、それを言うなら、鈴の方がズルいと思うけど」
「へ?何で私…?」
私、何かしたっけ?
ズルい、なんて言われること。
首を捻ると、先生が私の顔を覗き込んできた。
「!」
驚いたと同時に、先生の温かい大きな手がカップを持っていた私の手を包んだ。
そしてカップが先生の手に移り、テーブルに置かれる。
「だって、そうだろ?人が我慢してるのに、去り際にあんな寂しそうな声出されたら。あの後、鈴のことが頭から離れなくて大変だった」
「っ!」
バレてたんだ…!
寂しい、って思っちゃってたこと…。
しかも、そんなこと思ってくれてたの?

