「何?」

「っ……」


生物の宿題プリントをしながら、

慧くんを盗み見してるのがバレてしまった。

というか、どうやって浴衣のことを切り出そうかと

ずっと考えてるんだけど、言い出し難くて。


「言いたい事でもあるのか?」


ッ?!

慧くん、あなたはエスパーですか?

いつもながらに感心しちゃう。

どうして心の中が読めちゃうんだろう?


「あのね?」

「ん」


シャーペンをテーブルに置いて、

体ごと、慧くんの方に向き直った。


「来週末の夏祭りなんだけどね」

「ん」

「その……えっと……」

「んだよっ、ハッキリ言えばいいじゃん」

「っ……」


言い淀んでる私が悪いんだけど、

彼がイライラして来たっぽい。

ちょっと怒気が含んでて怖いよ……。


フゥ~と大きく息を吐いて。


「期末試験のご褒美券、1つ使う!!」

「ん、……何?」


冷めてるなぁ。

もっと瞳をキラキラ輝かせて、

期待してくれてもいいのに……。


「ゆずとユウくんもそうだし、私も着るから、慧くんも浴衣着てっ//////」

「浴衣?」

「うん……ダメ?」