「だって、慧くんは東大とか京大とか受けるんじゃないの?」

「誰が決めたんだよ」

「誰がって、皆んなそう思ってると思うけど」


ウチの父親の会社は兄貴が継ぐから

別に俺が継ぐ必要もない。

俺自身も行きたい大学があるわけじゃなくて。

やりたいことはあるけど、

そのために少しずつ準備しようかとは思ってるけど。

それには、絢が傍にいてくれたら心強い。


今の段階であーだこーだ言っても

きっとコイツは聞き流すだろうから、

今はまだ話さずに、必要なものだけ刷り込んでおこう。


真剣に数学を解いてる絢の頭を撫でる。

最近『悪魔魂』を完全に封印してるから、

なんか調子狂うけど……。

それでも、絢が楽しそうに笑っててくれたら

悪戯心も押し留めてもいいと思ってる。


「そういえば、水着、どんなのにした?」

「え、……ひみつ/////」

「いいじゃん、教えてくれても」

「当日までのお楽しみだよ」

「んだよっ」


照れながら頬を赤く染めてるから

多分、気に入ったのを買えたんだと思うけど。


「慧くん達も買ったんでしょ?」

「ん」

「どんなの?」

「男のは別に変わり映えねぇんじゃね?」