「ただいま」

「お邪魔しま~す」


自宅に到着したけど、母親の車が無い。

リビングに行くと、メモが1枚置いてあった。

『ネイルサロンに行って来ます』と。


「何、飲む?」

「何でもいいよ」


冷蔵庫を開けたら、わらび餅があった。


「食べるか?」

「うん!!」


甘いもの好きの絢。

さっきまでのブラックホール並みのダークな雰囲気はどこ行った?

一瞬で浮上した。

パッと明るい表情に変わり、

俺の手元に視線をロックして、

キラキラとした瞳でそれを見てる。


「ほれ」

「やったぁ♪」


絢にわらび餅を持たせて、俺はジュースを手にして2階へと。


朝、開けて出掛けた窓を閉めてエアコンを入れると、

絢はいつものようにラグの上に座った。


「なぁ」

「ん?」

「夏休み、どうする?」

「夏休み?」

「ん」

「どうするって?……何かするの?」


去年の夏が昨日のようだ。

俺が絢に本心を伝えて、ちゃんと付き合い始めたのが

――――8月7日。

その後に一時期別れた期間があるけど、

俺の中では8月7日は特別な日だと思ってる。