6月下旬の放課後。

梅雨に入り、毎日ぐずつく天気に気が重くなるが、

そんな事より、気になる事が1つある。


梅雨だから肌寒い日もあるけれど、

今年は比較的晴れてる日が多くて連日夏日なのに。


目の前のコイツは何でブラウスの上に

カーディガンやセーター、ベストといったものを着てんだ?

暑くねぇのかよ……。

見てるこっちが暑苦しくなるだろうが。


「絢」

「はい」

「暑くねぇの?」

「……暑いよ」

「じゃあ、脱げばいいじゃん」

「やだよ」

「何で」

「何でって、分かるでしょ……」


また始まった。

絢のコンプレックス全開負のオーラ。

その負のオーラ、何とかなんねぇのかよ。


初めて会った時から、

彼女は胸の小ささを気にしていて。

出会ってからずっとそのことに関して後ろ向きで。

俺が気にしないって言ってんのに

ウジウジうじうじと、まぁ、しつけぇ。


世の中、巨乳好きが大半かもしんねぇけど、

俺はそんなこといちいち気にしてねぇのに。


ほら、まただ。

この話題になると、速攻でガードが鉄壁に変わる。