確かに、やっくんは優しい。

気が利くというか、過保護な感じで

小さい頃から何でも手伝ってくれた。


だけど、私は特別な感情を抱いたことが無い。


一般的に考えたら、初恋に発展する関係性なのかもしれないけど。

私的には、彼氏に優しさを求めてるわけじゃない。

何ていうか……。

ドキドキ胸が高鳴ったり、きゅんと見悶えしたり。

時には胸がキュッと切なくなったりして

大人になるまでの短い時間を同じ速度で歩んでくれる人がいい。


だから、やっくんじゃダメなんだよね。

だって、毎日見ても、全然きゅんきゅんしないもん。

手を握られてもドキドキしないし。

そりゃあ、見た目はカッコいい部類だとは思うけど。

毎日慧くん見てるから、そこら辺の男子が普通に見えるんだよね。

慧くんと別れたら、私、一生独身だと思う……、うん。


予鈴が鳴り、やっくんは渋々教室へと向かって行った。


「ゆず、ありがと」

「当然のことだから」


ウフッと笑ったゆずの笑顔があまりにも綺麗で。

ますます色気が増した気がした。