「ん」


ユウくんに倣ってなのか、

慧くんもポケットから取り出したものを手のひらの上に。


「ブレザーの……ボタン?」

「ん」

「恐ろしい争奪戦みたいな感じになるって聞いてたから、事前に取っておいたってわけ」

「えぇ~~っ!」

「ほら、ゆず~、ちゃんとゆずの分、取っておいたんだから臍曲げるな」


ユウくんはゆずの頭を優しく撫でた。

彼らはちゃんとうちらの気持ちを先取りしてくれていた。

無視されたんじゃないと分かると、

胸の奥がじんわりと温かくなる。


「ありがとっ/////」

「……ユウ、ありがとっ」

「どぉいたしまして」


ゆずはユウくんからボタンを受け取った。

それも嬉しそうな表情で。


私も慧くんからボタンを受けとる。

ちょっと気恥しさを滲ませて。

だって、『両想い』の証だもんね。


「この後さ、最後の制服Wデートしない?」

「あっ、いいかも!!」

「食事会は18時集合だから、それに間に合うようにすれば」

「うん!!」


うちらは教室で沢山写真を撮って、

その後はWデートをするために街へと繰り出した。