カフェを出た私達は、

留学先で使用する文房具を買いに。

お揃いのモノを買うためだ。


毎日のように一緒に勉強していたのに

文房具をお揃いにしたことが一度もなかった。

盲点というか。

当たり前すぎて、気にも留めなかったというのが正しい。


「絢、これめっちゃ使い易い」

「そうなの?」

「長時間使ってても疲れにくい」

「えっ、そんなのがあるの?!」

「これは書き心地がいいし、こっちのは発色がはっきりしてる」

「さすがだね。書ければいいと思ってた」

「これを機にレベルアップすりゃいいじゃん」

「うん」


慧くんお薦めの文房具と、

前から気になっていたメーカーのマーカーペンも購入して。

少しずつだけど、留学の準備を始めてる。

だって、あと一カ月半もすれば

私達はイギリスに生活拠点を移すのだから。

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「絢の分も持たせちゃってごめんね?」

「別に重くないから」


着替えなどの荷物と一緒に航空便で送るからと

購入時に一つに纏めて貰ったから

手提げ袋を彼に全部持たせしまってる。

それなのに、揺れる電車内で

ドアに手をつき、痴漢除けまでしてくれてて。

ホント、デキすぎる王子様だよ。