放課後。

絢の教室に迎えに行く。


「絢、帰るぞ」

「「「キャァァァアアァ!!!」」」


耳痛っ。

近くで鼓膜が破れそうなほど大声出すなって。

ってか、近すぎんだろっ。

離れろって。


「け、……慧、…くん」


ほら、……絢が近寄れねぇじゃん。


「ごめんね、俺ら帰るから」

「「「えぇぇぇぇ~~っ?!」」」

「また明日。気を付けて」

「「「カッコイイ~~~」」」


うぜぇ。

耳を劈く声が廊下中に響き渡る。


「ほら、行くぞ」


教室の入口で縮こまってる絢の手を掴んで

一目散にその場から離れる。


「何でボーっと突っ立ってたんだよっ」

「だって……あの子達掻き分けて近づけないよ」

「彼女なんだから堂々としてろ」

「でも……」


絢はいつになっても『自分は彼女に相応しくない』とか

要らぬことを延々と考えてんだよな。


こんなにも絢しか見てねぇってのに。

本人は全く気付いてねぇ。


「慧くん」

「ん?」

「勉強、大変?」

「ん~……そこそこ」

「そっか」