プロポーズはまだだけど、一応、婚約したわけだし。

将来を見据えて、大学先も拘って決めたわけだし。

大学の寮に入ったり、別々の生活拠点を設定することだって出来るけど。

俺の中では、既に絢は必要不可欠な存在だし。

ずっと一緒にいたくて、毎日勉強仕込んでんだから

簡単に手のひら返すみたいなことはできねぇし、

例え、絢が俺に愛想尽かしても、

簡単には手放したりしない。


「もう1つは?」


カフェオレを口にして、カップ越しに彼女を捉える。


「慧くんのお願いごとは?」

「は?……あぁ、……ん」


合格したら……ということになってるやつな。

3つ貰ったうちの1つは決定済みだけど。


「慧くんのお願いごと聞いたら、3つめを話すよ」


へぇ~。

なんか、頭使うようになったな。

俺の出方を見極めるとか……。

そういう駆け引きできるようになったんだ。

面白れぇ。


「3つ、……貰っていいんだよな?」

「うん」

「じゃあ、とりあえず、1つしか決まってない」

「……何?」


絢は、胡坐を掻く俺に体ごと向きを変えた。