絢の部屋は、一人っ娘というのもあるだろうが、

結構、いやかなり広い。

14.5畳あるらしく、南側に面したお洒落な窓には

女の子らしい綺麗なレースカーテンが施されている。

白と薄いピンクと淡い水色を基調とした部屋。

入った途端に少し甘いような花の香りに包まれる。

この匂い、めっちゃ好き。

『絢』を抱き締めてるみたいな香りだから。


鞄を置いて、室内を見回す。

奴はどこにいるんだ……?

本棚にも机の上にもいない。

ドレッサーの上にもないし、

壁に施された棚部分にもいない。

勝手に机やドレッサーの引き出しを開けるにもいかず。

キョロキョロ……いや、ギロギロ……か?

鋭い視線を隈なく張り巡らせたが、

奴の姿を捕らえることが出来なかった。


「座っててよかったのに」


絢が飲み物とおやつを手にして現れた。

結局、ババロアと団子の両方を持って来たようだ。

フッ、絢らしい。


絢に促され、ソファーに腰を下ろす。

白い湯気を纏ったティーカップが目の前に置かれた。


「俺が買ってやったCDって、どこにあんの?」