イギリスに来て、10日が過ぎた。

大学はほぼ決まったようで。

昨日から、生活拠点になる物件探しをしている。


今すぐに入居するわけでは無いから、

決めるのも結構時間がかかりそう。

だけど、慧くんも慧くんママも

最終決定は私が決めていいと言っている。


セキュリティが万全で、交通の便もよく、

お店や病院が近隣にあって利便性が高い物件の中から

間取りや家具家電の充実性を考慮して選ばせてくれるらしい。


「絢、ここなんてどうだ?」

「絢ちゃん、ここはお薦めよ」


クラシカルな雰囲気の外観だけど、

一歩中に足を踏み入れると、

生活し易いようにリノベーションされている。

家具家電も最新のものが搭載されているようだ。

だけど、とってもお高そうなんだけど……大丈夫なのかな?


「慧くん」

「ん?」


ママさんが管理者の人と会話している隙に

彼の服を引いて、小声をかける。


「ここ、……高そうだよ?」

「それは気にしなくていいから」

「え?……でもっ」

「邪魔されたくないから、シェアとかゲストハウスは最初から考えてないから」

「……ん」