大学を見学し夕食も済ませ、

コンドミニアムに戻った私達は、

テーブルの上に貰って来た資料を広げた。


「絢ちゃん、先にお風呂入って来ていいわよ?」

「え、いいんですか?」

「えぇ。慧と少し話するから」

「……あ、はい」


慧くんが頷いたのを確認し、着替えを取りに部屋へと。


約三週間、このコンドミニアムで生活しながら、

大学を三校に絞るらしい。

それにプラスして、その大学の近くにある物件も調べるそうで。

方角ですらすぐに分からなくなる私は、

完全に蚊帳の外に置いてけぼり状態。

『住む所は絢に決めさせてやる』とは言われてるけど。

正直、それすらも放棄した方がいいんじゃないかと思えて来る。


歩き疲れて、汗でベタベタ。

汗臭くないかな……?

シャワーを浴びる為に服を脱いで、体臭を確認。

だって、慧くんからずっといい匂いがしてたんだもん。

嫌われないようにしっかり洗い流して綺麗にしないと!



「お先にありがとうございましたっ」

「おかえり~」

「じゃあ、俺、入って来る」


すれ違いざまにポンと頭を一撫でされた。

すると、ふわっといい香りが鼻腔を掠めた。