「慧……くん?」

「……ん?」

「ごめんねっ」

「別に、絢が謝ることじゃない」

「でも……」

「売られた喧嘩を買うにはどこに行ったらいいのか、ずっと気になってたから」

「っっっ~~/////」


校門を出て、通学路を手を繋いで歩く。

毎日見ている景色なのに、ほんの少しだけ違って見えた。


「さっきはありがとっ//////」


繋いでいる手がぎゅっと握り返された。

そんな彼女に視線を向ければ、

さっきの俺の言葉が嬉しかったのか。

思い出したようで、赤面している。

そんな彼女の頭を繋がれていない方の手で優しく撫でて。


「俺の方こそ、ありがとな」

「え?」

「さっき、……俺のこと、ちゃんと認めて、『好き』だとも言ってくれたじゃん」

「聞いてたの?!」

「聞こえたんだよ」

「っ//////」


それに『やっくん』ではなく、

奴のことを名前で呼ぶ努力をしてくれたことも。


「うちら、……婚約したの?」

「フッ、……似たようなもんじゃね?」

「……まぁ、そうだね」


あの場をやり過ごす為に吐いた嘘だけど。

拒絶はされてないようだ。

ウフフッと可愛らしく微笑んだ彼女は、

俺を手招きして、口元に手を添えた。

そんな彼女の口元に耳を寄せると。

『めちゃくちゃカッコよかった//////』


「そりゃどうも/////」