絢のクラスの3年D組に到着したけれど、絢の姿が無い。

トイレにでも行ってるのだろうか?

廊下の窓枠に肘をついて、外の景色に視線を向ける。

すれ違う生徒と視線を合わせないためだ。

じゃなきゃ、さっきみたいに煩い連中が集まりだす。


王子様キャラを演じるのも楽じゃない。

成績をキープするのは簡単だけど、

感情をコントロールするのは至難の業。

イラっと来たら、顔に出てしまいそうで

それを必死に隠し続けて何年だろう?

小学校の3年くらいの時からだから、

もうじき10年になるのか?


そんな俺を丸ごと受け入れてくれる絢。

王子様キャラじゃなくても

ちゃんと素の俺を見てくれる。


俺のかわい子ちゃんはどこに行った?

数分待っても現れないんだけど……?


「あ、あの」

「はい、えぇ~っ?!神宮寺くんっ!!」


廊下から教室へ入ろうとする女子に声を掛けた。


「絢、……市村さんは?」

「絢ちゃん?さっき、C組の男子に声を掛けられて、視聴覚室の方に歩いて行きましたよ?」

「………ありがと」

「い、いぇっ/////(カッコいい~~~!!)」


C組男子?

視聴覚室??

また告白されてんのかよっ!