母親との会話を済ませ、2階の自室に上がった私達。

彼は私のベッドに腰掛け、フゥ~と大きく息を吐く。

安堵したのか、珍しく両手を広げてそのまま倒れ込んだ。


「慧くん?」

「めっちゃ、緊張したぁ~」

「へ?」

「ママさんの目、めっちゃ真剣なんだもん」

「………」


彼でも緊張するんだ。

なんか新鮮。


「何、笑ってんの?」

「あ、……ううん、何でもない」

「ごめんな、勝手に話進めて」

「いいよ。……どうせ、言われてもよく分かんないし」

「大学選ぶ時とか、住む場所決める時は、絢の意見尊重するから」

「いいよっ、別に」

「んだよ、その言い方。ちゃんと考えろよ」


がばっと起き上がった彼。

その視線は、さっきまでの優しいものと違い、かなり鋭い。


「ごめんねっ。ちゃんと考えるから、怒らないでよっ」

「怒ってねぇよ」


視線を逸らした彼の隣りに腰を下ろす。

だって、私がずっと気になってるのは、そんな事じゃない。


「慧くん」

「……ん?」


半袖Yシャツの袖をほんの少し引っ張って。