7月中旬。

期末試験の結果も返却され、

何とか順位は落とさず、3位をキープ出来たけど。

上には上がいる。

自分では相当努力したつもりなんだけど、

慧くん曰く、『皆、この時期は誰しも死ぬほど努力する』と。

分かってるよ、そんなこと。

だけど、慧くんの貴重な勉強時間を削ってまで

教えて貰ったのにもかかわらず、成績が伸びないとか……。

かなり、いや、……相当凹むよ~。


あと数日で夏休みになるから、

みんな夏休みの計画で盛り上がってるけど、

今の私、ちょっとそんな気分じゃない。


「絢」

「……ん?」

「今日、絢んち行っていい?」

「ん、いいよ」


学校の正面玄関を出た所で、彼が顔を覗き込んで来た。

このままじゃ、彼に愛想尽かされてしまうかも……。


慧くんが目指してる大学のレベルで考えたら、

たぶんトップと底辺の差があると思う。

慧くんと私。

だから、不安なんだよね。


「何て顔してんだよ」

「……落ち込んでんだから、慰めてよ」

「フッ、……相変わらず、可愛いやつだな」


彼の手がポンと頭の上に置かれた。

慧くん、私の不安はね、勉強だけじゃないんだよ?