無理やり手を握って歩き出す。

周りにいる子達が騒ぎ出したから。


「慧くんが迎えに来なかったから……」

「………ん?」


ぷくっと脹れたままの絢は、視線を逸らしたまま口籠った。

そんな彼女の顔を覗き込んだ、次の瞬間。


「……やっくんにまた今日も告られたんだからねっ」

「はぁぁああ?!!」


あんにゃろうっっっ!!!

いい加減諦めたらいいのに。

未だに絢にちょっかい出しやがって!


「何て言われたんだよ」

「……知りたい?」

「焦らすな」

「フフッ、自分だって私を待たせたくせに」

「っ……、あれは仕方ないというか。ちゃんと適当にあしらっただろうが」

「どうだか」


最近、少しずつ対等な関係を築きつつある。

まぁ、当たり前と言えば当たり前で。

同じ歳だし、一応、婚約者?的な位置づけだし。

俺も少しずつ、二人の間にある垣根を剪定して低くしてる。

じゃないと、この先の長い人生で、

絶対彼女が俺に愛想を尽かしてしまうと思うから。

俺との関係性に疲れてしまうんじゃないかと。