私の中で決めていることがある。

中間試験でクラス順位1位になれたら、

彼の意向にそって、前向きに留学を検討しようと思ってる。

留学の話自体は、既に両親に話してあるけれど。

正直、乗る気じゃなかった。

幾ら英語が得意でも、

テキストの中の世界と日常の会話スキルは違うと思うし。

だから、踏ん切りがつかないというのが正しいのかもしれない。


会社を経営するのに経営学や会計理論とかが必須だと彼が言っていた。

他にも必要なスキルはあるんだろうけど、

苦手な理数系を底上げしないと、

文理のバランスが物凄く悪いのは否めない。

だから、今回の中間試験は苦手分野を徹底的に勉強した。


順位が全てじゃないことは分かってるけど。

それでもやっぱり、結果が欲しい。

こんなにも努力したという証が。

そして、それこそが、私が彼の隣りに立つための身分証だと思うから。


「慧くんっ」

「ん?」


手を繋いで隣りを歩く彼が、視線を向けてくれる。

そんな些細なことだけど、これが私のモチベーションだ。


「んッ?!!」


彼の通学鞄の持ち手部分を掴んで、

力いっぱい引っ張って、………唇にキスをした。