だからと言って、『はい、お願いします』だなんて

軽々しく口に出来ない。

だって、今の私は、

彼が築いてくれたと言っても過言じゃない。


たぶん、将来を見据えて、

私の基底部を底上げしてくれたんだろうけど。

私は、彼のために努力した?

彼が骨を折ってくれているみたいに

彼のために何かした??

……何一つ、彼のためにしてないと言える。

これでは、彼のサポート役失格じゃない?


テーブルの上に置いた手をきつく握りしめる。

ずっと支えてくれた彼に対して、自分が情けなくて。


「英検、一発合格してみせるからっ」

「ん?……何、いきなりスイッチ入ったのか?」

「ウフフッ」


私の内心を知る由もない彼は、不思議そうに見つめてる。

彼のためにも、将来の自分のためにも。

もう手を抜いたり、無駄な時間を過ごしたりしない。

苦手教科だって、彼のために克服しないとね!

彼が私のために、貴重な時間を費やしてくれて来たのだから。


英検が受かったら、彼に話そう。

特進クラスだから、普通科より進路先を決めるのは重要だもん。

きっと、ずっと催促されてると思うから。