俺は優しい声音で、布団越しに絢を摩りながら

『理恵』とのことを包み隠さず話した。

それが絢にとって、今は酷だという事も承知の上で。

だけどそれが、俺に出来る唯一の誠意だと思うから。


「だから、恋心を抱いたことは一度もないし、解消して清々してる」

「……………じゃないの?」

「へ?……ごめん、聞こえなかった」


掛け布団を被ってて、声がくぐもってて聞こえ辛い。

もう一度言って欲しくて、トントンと優しく叩くと。

ゆっくりと布団から出て来た絢。

その瞳は真っ赤になってて、頬に涙の痕まである。


「慧くんのっ………は、…つ…恋の人なんじゃないの?」

「は?……いや、だから、恋心抱いたことないんだってばっ」

「………本当に?」

「ん。………ってか、俺の初恋の相手、絢だから//////」

「え?………えぇっ?!」

「安心していいよ。俺、絢以外、眼中にないから」

「っ//////」


布団に潜ってたから、髪が乱れてて。

それを手櫛でそっと梳いてあげると、

その俺の手を両手でがしっと掴んだ彼女は、

くりっとした大きな瞳で俺を捕らえた。


「絢のこと、……好き?//////」

「めっちゃ好き」

「っ///////」


真っ赤に頬を染める彼女に優しく口づけた。

不安な気持ちを一瞬でも抱かせないように。