絢にお風呂が空いたことを伝えたが、

返答に抑揚がないことがいい証拠で。

完全に嫌な思いをさせてしまったようだ。

さて、どうしたものか……。

お風呂から出て来たら、

彼女にちゃんと話さないと。

**

お風呂から出て来た絢は、

俺の部屋に来ることなく、部屋に閉じこもってしまった。

あんなにも『お泊り』を楽しみにしていたのに、

綺麗な心を踏みにじるような真似をしてしまった事が心苦しくて。


コンコンコンッ。


「絢、入るぞ」


返事がない。

もう寝てしまったのだろうか?


22時半過ぎ。

俺は彼女がいる、ゲストルームのドアノブを捻った。


「絢?」

「………」


頭から布団を被って丸まっている。

完全に俺から逃げるみたいな仕草に胸が締め付けられる。


彼女がいるベッドに腰掛け、布団の上からそっと叩く。


「絢……ちょっと、話そうか」

「………」


尚も無言のまま。

本当はそっとしておく方がいいのかもしれない。

だけど、俺の左胸が『危険』だと警報を鳴らし続けてる。


行き違いの誤解が生じた時は、

後回しにせずにその場で解決しないと、

更に拗れると、去年痛いほど味わってるから。


「そのままでいいから、俺の話聞いて……?」