2階のゲストルームに逃げ込んだ。

私に用意された部屋なんだけど、

慧くんの部屋の2つ隣で、普段は使われてない部屋。

その部屋のベッドに倒れ込んだ。


さっき目にした子の残像が目に焼き付いてて。

ぎゅっと胸が締め付けられる。

慧くんが好きだった子、だと思うから。


分かってる。

あんなにカッコいい彼だもん。

きっと幼い時からモテてただろうし。

だけど、何ていうか。

幼稚園や学校でのスナップ写真と違って、

プライベートな自宅や家族旅行にまで

一緒に写っていることが受け入れ難くて。


コンコンコンッ。


「絢、……風呂空いた」

「………はい、今入ります」


ドア越しの彼の声。

姿が見えなくて助かった。

だって、今見たら、絶対抱きついてしまいそうで。


お風呂に入る用意をして、浴室へとダッシュした。

**

神宮寺家の浴槽はちょっと変わってて、

L字型をした浴槽で、天井から滝湯のような

ミスト湯のような湯が出せる仕組みが搭載されている。

そんな仕様のスイッチを押し、

天井からの湯を頭から被って―――。