却下されるかと思ってたのに。

あっさりと快諾してくれた。


人混みが嫌いな彼。

夏休みの沖縄旅行以来、

何度か人混みでも我慢して付き合ってくれてる。

普通の恋人同士なら当たり前のデートも

私達にとってもとてもハードルが高くて。

毎日のようにデートする人たちもいるだろうけど。

私にとっては、とても貴重なことだから。


私のおねだりに、優しい笑みで応えてくれた彼。

ポケットの中で、何度も指先でなぞっている。

私の左手薬指に収まる指輪を。

無意識なのかもしれない。

たぶんそうだと思うんだけど。

それが、嬉しくて……。

きゅっと胸が締め付けられる。


信号が青になり、歩き出した彼。

半歩先を行く彼の背中を見つめ、

ドキドキと激しい鼓動を刻む胸を宥めるように

何度も何度も深呼吸して。


「慧くん」

「ん?」


私の声に反応するように振り返った彼。

そのフェイスラインでさえ、見惚れてしまう。


「慧くんにもご褒美券、1つあげるよ?」

「……いいのか?」

「いっぱい勉強教えてくれたし。今日はクリスマス・イヴだしね♪」