今日は待ちに待ったクリスマス・イヴ。

終業式を終えて、慧くんと下校中。

普段は有無を言わさず、どちらかの自宅へ直行なんだけど。

今日ばかりは、ちょっぴり贅沢をしたくて。

残り6個あるご褒美券から、おねだりで消費しようと思ってる。


「慧くん」

「……ん?」


大通り沿いの信号待ちで足止めされてる私達。

クリスマス・イヴというのと、

終業式で半日下校というのが重なって、

辺りは若者で溢れ返っている。

それがお気に召さない彼は、

校門を出てすぐに、眉間に深いしわを刻んだ。


日中とはいえ、12月の下旬の気温は一桁。

さすがに息も白いし、肌をさす空気が冷たい。

そんな寒さから守るように

彼のコートのポケットに収まる私の手。

彼がぎゅっと温めてくれている。

そんな彼の手を握り返して……。


「ご褒美券、使ってもいい?」

「今?」

「……うん」

「いいけど、何?」


信号機をじっと見つめていた彼の視線が、

不安が滲む私の瞳を捉えた。


「この後、久しぶりにデートしたい」

「ん、いいけど」

「ホントっ?!」

「ん、クリスマス・イヴだしな」

「……うんっ//////」