「今、絢の成績をめっちゃ頑張って上げてるから」

「……それで?」

「さすがに残り1年で東大クラスは無理でも。目標の大学へは余裕で受からせてやりたい」

「……ん、で?」


やけに食い下がるな……。

仕方ねぇ、話すか。


「ゆくゆくは、俺のサポートして貰うつもりだから」

「それ、絢ちゃんの許可取ってんの?」

「……まだ」

「早めに話した方がいい。もしかしたら、絢ちゃんには絢ちゃんの夢があるかもしれないし」

「それは分かってる。無理強いするつもりはない」

「それならいいけど」


もう解放ってことでいいのか?

冷茶を手にして部屋へ戻ろうとした、その時。


「けじめはしっかりつけなさいよ?中途半端な気持ちだと、相手に失礼だからね?」

「……分かってるって」


俺は振り向きもせず、リビングを後にした。



自室のベッドに倒れ込む。

はぁぁ~~……焦ったぁぁ……。

もっと突っ込まれたらどうしようかと。

とりあえず、何とか乗り切ったけど。

だけど、多分気付かれてる。

だって、『けじめはつけなさいよ?』と言われたから。