「慧、大学どうするの?担任から進路希望の紙が提出されてないって連絡があったんだけど」


22時過ぎ。

絢を送り届けた母親にリビングで呼び止められた。

シャワーを浴びて喉が渇いた俺は

冷蔵庫を開けてる、手が止まった。


「大学はまだ決めてない」

「幾つか絞ってあるんでしょ?」

「ん~それなりに?」


将来の夢というか、やりたい事は伝えてある。

父親の会社を継ぐのを兄にして貰う為に

だいぶ前にその件については話しておいた。


ただ、現状から言ったら

まだ志望大学は決めてない。

というより、まだ決められない。

絢と同じ大学に行きたいから、

出来るだけ、彼女のランクを上げておきたくて。


「絢ちゃんと別々の大学に行くのが嫌だとか?」


核心突いて来たな。

まぁ、バレバレなんだろうけど。


「同じ大学に行くつもり」

「絢ちゃんはそれでいいって?」

「まだ、聞いてないけど」

「……何考えてるの」


やべぇ。

腹の内、読まれてる。

父親は俺のことに無関心だから

成績に関しても、口煩くない。

けど、母親は違う。

頭がキレる分、いつだって直球で突いて来る。