「慧くん、この解き方で合ってる?」
「………」
「慧くん?……慧く~~んっ」
「ん?あ、ごめん、何んか言ったか?」
「フフッ、珍しっ。えっとね、この問題、この解き方で合ってる?」
考え事をしてたようで、私の声が聞こえなかったっぽい。
慌てながら、私の手元に視線を落とした。
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数日後。
下校後に私の自宅で宿題&試験勉強をしていると、
隣りに座る慧くんの手が、完全に止まっているのに気が付いた。
「慧くん?……慧く~ん?」
「……ん?あ、悪い」
おかしい。
このところ、慧くんの様子が変だ。
どこかボーっとしてるような、
何かずっと考え込んでるような……。
今までどんな時だって、
チラッと見ただけでも『よそ見すんなと』と
瞬殺でレーザービーム効かせてた彼なのに。
「何か、悩み事でもあるの?」
「いや」
「じゃあ、考え事?」
「………ちょっと」
あ、視線逸らした。
これって、怪しくない?
別におかしな質問したわけじゃないのに。
あからさまに逸らされると、ちょっとショック。



