ブラック王子に狙われて②



「慧くん、この解き方で合ってる?」

「………」

「慧くん?……慧く~~んっ」

「ん?あ、ごめん、何んか言ったか?」

「フフッ、珍しっ。えっとね、この問題、この解き方で合ってる?」


考え事をしてたようで、私の声が聞こえなかったっぽい。

慌てながら、私の手元に視線を落とした。

**

数日後。

下校後に私の自宅で宿題&試験勉強をしていると、

隣りに座る慧くんの手が、完全に止まっているのに気が付いた。


「慧くん?……慧く~ん?」

「……ん?あ、悪い」


おかしい。

このところ、慧くんの様子が変だ。

どこかボーっとしてるような、

何かずっと考え込んでるような……。


今までどんな時だって、

チラッと見ただけでも『よそ見すんなと』と

瞬殺でレーザービーム効かせてた彼なのに。


「何か、悩み事でもあるの?」

「いや」

「じゃあ、考え事?」

「………ちょっと」


あ、視線逸らした。

これって、怪しくない?

別におかしな質問したわけじゃないのに。

あからさまに逸らされると、ちょっとショック。