11月中旬。
ついこの間夏休みを過ごしたかと思えば、
あっという間に11月も半ば。
夏休みの勉強のお陰で、
中間試験はクラス順位を4位から3位に上げた。
慧くんマジックの威力は計り知れない。
当の本人は至ってクールで、
不動の1位の座をキープし続けている。
「絢、俺んちでいいか?」
「あ、うん」
「じゃあ、連絡入れとこ」
月末に控えている期末試験対策にと
既に教える気満々の慧くん。
メールを打ち終わった彼は、
うちの両親からも頼まれているみたいで
さっきからブツブツと勉強スケジュールを
脳内で組み立てている模様。
自身の勉強だってあるのに
いつまでも彼に任せっきりでいいのかな……?
結構順位も上がったし、
勉強の仕方もある程度分かるようになったし、
分からない所だけ慧くんに聞くんじゃダメなのかな?
信号待ちで立ち止まっている私達。
繋がれた手を少し強めに握って、彼に合図を送る。
「ん?……何?」
「結構勉強の仕方も覚えたから、慧くん、自分の勉強に専念していいよ?」
「それ、どういう意味?」
「どういうって……」
あ、要らぬことを口走ったらしい。
すこぶる機嫌が悪くなった。