「だからー、もっとここは抑揚つけなきゃだめだよ!」 なんでだろ。 どんなに練習しても上手くいかないのは……。 個別レッスンが始まり2週間目。 どうしても上手くいかない。 「杏、まだこいつ上手くなんないの?」 真莉が訪ねてきた。 「うんー…」 「ねぇ、杏。 ちょっといい?」 真莉はあたしに耳を貸せと言ってきた。 「相手が杏だから緊張するんじゃない?」 そう耳打ちしてきたのだ。