「!」
ふと、彼が何かに気づいたように目を見開いた。
――――その刹那
彼の後ろに、シロさんに噛みつこうとしているウサギが現れたのだ。
「!!?」
「チッ」
眉を顰めて舌打ちをしたシロさんは、左足を軸にして振り返り、手にしていた刀でそのウサギを薙ぎ払う。
それが私にはスローモーションのように映った。
ギッという短いウサギの悲鳴が聞こえて、胴体を真っ二つに切断された傷口から噴き上がった赤がゆっくりと、まるで雨のように降り注ぐ。
ドシンと音を立ててウサギが倒れ、血だまりを作った。
雲の間から見える月の光に照らされて、血糊がついたシロさんの刀が怪しく光る。
彼は冷めた目で倒れて灰になったウサギを見下ろす。
「………………」
そんな彼を私は。
血の雨の中、血糊がついて怪しく光る刀を手にしていて、冷めた目でウサギを見下ろしているシロさんの横顔が。
月光に照らされている彼を、私は不覚にもかっこいいと思ってしまった。


