次の日。


私は4時に起き、身支度をしてジルとリャノとAliceを発った。


てっきり地下の超高速列車に乗って行くのかと思っていたら、交通費節約の為に乗り物は船以外使わずに行くらしい。


「節約って…」


少し意外だった。


国際機関だからお金のことなんて気にせずに、色んな乗り物に乗れると思っていたから。


「調達してくれる国は多いんだけどさ、少ねぇんだ、コレが」


ジルは右手で親指と人差し指で輪っかを作り、お金のジェスチャーをした。


「その資金のうち大半はフォルミーカと、壊した物の修理代と食費でぶっ飛んでくし」


リャノが苦笑する。


「そんで、資金から必要最低限の金を引いて残った金が、俺らが使う交通費はできるだけ使わない方がいいよなって思うくらい少なかったってわけだ」


ジルがリャノの言葉を紡いで眉を下げた。


―—マジか


「…え……じゃぁ、もしかしてここから歩いて行くんですか!!?」


私の問いに二人は頷き、私は愕然とした。


「う…嘘でしょ……」


ここから任務の場所まで、一体何キロあるのだろうか。


考えても分かるはずがない。


私たちが行く場所は、ここから海を渡って遥か北の大地だ。


しかも世界最大の面積の国である。


そんなとこまで歩いていくって…。


「そんなガッカリすんなって~」


ジルはヘラヘラ笑い、リャノは私の肩にポンと手を乗せた。


「ヘーキ、ヘーキ。俺ら人間じゃないから走っても、最低で時速75Kmくらいだから」


―—うわぁ…スゴイ


「まぁ、走るより飛んだ方が楽だしな」


「と、飛ぶ?」


ジルの発言に私は瞬きを繰り返した。


「そうそう。走る前みたいに地面を蹴るでしょ?」


リャノが説明する。


「その時、出るエネルギーを使って跳躍するんだよ」


「う…うん……?」


しかし、私には理解できなかった。


「説明が分かんねえんなら、とりあえずやってみろや」


ジルがそう言ってくれたので、私は言葉通りにした。


―—走る前みたいに地面を蹴るッ


「「お」」


「え!!?」