「あ、コウガ」
そこに着くと、先客がいた。
汗をかいていて、タオルで顔を拭いているようだった。
「ギルさん…」
因みに今、初めて彼と会話した。
「あ。呼び捨てでいいし、敬語も使わなくていいよ」
彼はニコリと微笑み、「俺の方が年下だと思うし」と付け足して私を見た。
「………………」
だからといって私に敬語は使わないんだ。
なんて、少し思ったり、思わなかったり。
「で、ヨースケの指南はどうよ?」
彼は私を見上げ、興味津々に聞いてくる。
「鬼ですね」
「うわ、即答!」
彼はギャハギャハとお腹を抱え、笑う。
「いや、俺が指名しときながら笑ってごめんな」
彼は目に涙を浮かべながら言い、袖を捲った。
左腕の色が何故か赤紫色だった。
彼が言う指名とは、私がここに始めてきて自己紹介をした時にギルが、「教育係はヨースケがいいと思う」と推薦したことだろう。


