それは私がジルと長期の任務をしている時だった。


しかも運が悪いことに、ウサギを倒している最中にソンジュさんからの通信が届いたのだ。


《コウガは?コウガいる?》


そんな焦ったような声音が端末から聞こえた。


だけどこれはソンジュさんの声じゃない。


フューチェだ。


シロさんを担当している、彼が信頼している医師。


彼が私に告げた言葉は、たったの二文字。


《…もう……》


それだけだった。


だけど、私にとっては十分すぎる言葉だった。


全ての音が消え多様な感覚に襲われ、耳鳴りがした。


それだけで、私は悟ったのだ。


彼はもうじきこの世を去るのだと。


そして私はジルにウサギを任せ、Aliceへと急いだ。


行っている途中、熱いものが頬を伝った気がした。