「あぁ……そういうこと…」
アルが俯いた途端、顎に手を置いていたラガーが、納得したように呟いた。
彼のその発言で一気に視線がラガーの元へ集まる。
「な…何が?」
ダラナが不安そうな表情を浮かべ、不安そうに聞いた。
「お前らおかしいと思わなかったのか?」
「え?」
ダラナが眉間にシワを寄せて、ラガーが何で今まで気づかなかったんだろう、とでも言いたげに険しい顔をする。
「……………………………」
何の話だろう。
ふと、ソンジュさんの方を見ると、彼らは真剣な顔をして何か話をしていた。
ジルがやけに珍しそうなものを見るような顔をしてシロさんを見ていた。
「……………………………」
「おかしいって…何が」
ダラナの隣にいた男が額に脂汗を浮かべて言う。
「50過ぎたらここで働けなくなるってあんのに、今まで俺らの部隊でそんな定年退職みたいなことした人、見たことあるか?」
「っ!」
「あ…」
彼に言われて各々が気づく。
言われてみれば、そんなこと、そんな人。
今まで見たことない。
そういえばシロさんの誕生日の時に分かったことがあった。
私たちの部隊には40歳以上の人がいない。
新設されて間もないわけでもないのに。
ウサギに殺されたと考えても、熟練の人達がそう簡単に亡くなるはずがない。
あの時は気にしてなかったけど、言われてみればおかしい。
……とすると、聖戦で亡くなった?
でも、何でだろう。
そんなに戦ってたら強くなるのは必然なのに。
「あぁ…それは僕ら以外、前回の聖戦で死んじゃったから」
ラガーの代わりに、フィーネさんが言った。
「普通の任務で生きてても、聖戦で弱いのは死んじゃうからね。いくらセルペンテといえども、老いには勝てないよ」
彼が腕を組む。
「……で、僕が伝えたいことはもうなくなったけど、他に何かある?」
フィーネさんはそう言い、辺りを見回す。
「僕も言いたいこと言ったし、これで失礼させてもらうよ」
ソンジュさんがそう言い、サクサクと食堂から出ていく。
「……帰ろっか、コウガ」
そして私はアルに促されて、ソンジュさんの後を追うように食堂から出た。


