天を衝く槍



四方から息を飲む音がする。


私は目を見開いた。


―—ぜ、全面戦争…!!?


言葉を理解して、じわり、と汗が滲んだ。


「Lunaと!!?」


「そんな馬鹿な…」


後ろから驚愕した声が聞こえる。


12年に一度、戦争をする?


何なの、その話。


なに、そのオリンピック的な話。


そんな話、教育係のヨースケでも教えてくれなかった。


Aliceの募集要項的な書類にも書かれてなかった。


ふと、ヨースケの方を見てみると、彼も目を見開いて呆けていた。


「………………………」


あ、ヨースケも知らなかったんだ。


彼らが何故このことを隠していたのかは分からないが、これで謎が解けたかもしれない。


もし、ジル達が12年前の全面戦争に参加していたとしたら。


ジルがジェゾと遊んでいた理由がわかる。


チヤクがシロさんに構っている理由がわかる。


ギルがキールを弱いと断言した理由がわかる。


……かもしれない。


たぶん、彼らは12年前の全面戦争の闘いに勝負がつかなかった。


だけどAliceとLunaが闘っていいのはその日から12年先だ。


だから任務中に会っても殺気バンバン出してるけど、遊び程度で本気は出さないんだ。


そして今それを話すってことは、たぶんその全面戦争が近い。


雪辱を果たそうとしているんだ。


きっとラガーの奢りでホテルに泊まった時、ベランダでシロさんが『時間がない』って言っていたのも。


シロさんとヨースケがキールに襲われた時、ジルが『ルール破んじゃねぇ』って言ったのも。


全部、聖戦のことを言ってたんだ。


「…………………………」


…………………。


だけど、おかしい。


私の知る限り、Aliceのセルペンテに入団出来るのは、誰一人として家族がいない16歳以上、25歳未満の人間の筈だ。


彼らの年齢を逆算すると、全面戦争をしたのは彼らが13歳の時の筈だ。


フィーネさんは17歳だとしても、ギルは11歳。


そんな、子供まで…?


そんなコドモまで戦場に?


何故?


なんで?


なんで子供まで?


「っ」


と、不意に視線を感じてハッと我に返ってみると、フィーネさんとシロさんが私を見ていた。


気のせいか、いつもよりずっと目が冷たく感じた。