「なんの…話だよ…」
アルがギュッと私の袖を掴んだ。
「ここに来てから一度は聞いているでしょ」
フィーネさんの言葉に、周りがざわつく。
「…………………………」
―—なんで、今なんだろう
不意に、そんな疑問が頭をよぎった。
今まで隠してきた、今まで黙ってきたことを、なんで暴露するんだろう。
知られなくなかったから?
それとも、その時は知る必要がなかったから?
だとしたら、何故?
なんで、今日なんだろう。
なんで、今なんだろう。
「聖戦っていうのはね―—」
彼が話し出そうとした時、不意に食堂の入り口の方から足音がした。
だれが来ているのかは、廊下の電気が消されているため暗くてよく見えなかった。
だけど、彼らは分かったのだろう。
ギルが驚き、シロさんは眉を顰め、ジルがあんぐりと口を開けた。
「…………………………」
そしてフィーネさんは口をつぐんだ。
「フィー、それは僕から話すよ」
私たちセルペンテとは全く関係がないと言えば嘘になるが、少なくとも今は関係のない人の声がして、再び周りがざわついた。
「なんでソンジュさんがここに…」
ラガーが驚き、アルが固まる。
彼女たちだけじゃない。
ここにいる皆が、目を見開いている。
何故ここにいるのかと。
何故、関係のないはずのソンジュさんがここに来て、聖戦の話をしようとしているのかと。
「僕も関わってるからね、一応」
何故か彼は悲しそうに口元に笑みを浮かべ、息を吐いた。
―—弟が聖戦で死んだ
そういえばあの時、ソンジュさんはそう言ってたっけ。
「聖戦っていうのはね、12年に一度やるLunaとAliceの全面戦争のことだよ」
そんな彼の言葉がズシリと胸に響いた。


