-----ヒュッ
不意にどこからか、ビール瓶がフィーネさんの元へ一直線に飛んでいく。
「おい!!!」
誰かが叫ぶ。
避けることも彼なら息をすることと等しいはずなのに、フィーネさんは全く動じない。
彼はそうなることをきっと分かっていたのだ。
-----キィンッッ
突然、そんな音がして、空中で斜めにコップが真っ二つになる。
―—うそ!!?
そう思った人は多く、再びざわつく。
そして、斬られて行き場をなくしたガラスのコップはそのままガシャンと音を立てて落ち、その音で周りはシン、と静まった。
私にはその一部始終がスモーローションのように見えた。
フゥッと空気を切る音がする。
―—あれ、この音……
聞いたことがあった音だった。
「フィーにこんなことするなんて何。そんなに死にたいわけ、リャノ」
そして、いつもの冷たい声が聞こえた。


