天を衝く槍



「わ、ほんとにうちの部隊しかいない」


フィーネさんが軽く腕を組んで言った。


シロさんの脅しが効いたのだろう。


「ツケが回って来たなー、これ」


「……わざわざ幸せな箱庭から抜け出さなくてもいいのに…」


ギルが苦く笑い、ジルがポツリと悲しそうに呟く。


―—ツケ?


幸せな箱庭?


何の話だろう。


「何から聞きたい?」


そんなことを思っていると、フィーネさんがワクワクしたような表情を浮かべ、そう言った。


「……いや、今日だけ何でも答えようか」


彼は手を口元にあて、目を逸らす。


「とりあえず、事実だよ。あの噂」


フィーネさんがいつもと変わらない口調で言った。


私たちが一番知りたいことを端的に。


周りが、ざわめく。


ギュッと、アルが私の袖を握った。


―—事実ダヨ。アノ噂


「………………………」


「………………………」


「………………………」


……え…?


「じ、事実ってことは……あいつらがプロヴァーレ(暗殺部隊)ってことなのか…?」


ヒソヒソと誰かが小さな声で言っている。


あ…暗殺、部隊……。


彼らが、プロヴァーレ…。


「やっと尻尾出したか、人殺し集団が」


本当に、彼らがウルノを?


そんな馬鹿な。


「…………………………」


唇がパサパサして、喉が渇く。


こめかみから嫌な汗が伝っていく。


瞬きが、出来ない。


「……なん…で……」


掠れた声が出ていく。


彼らがプロヴァーレじゃないかっていうことは、アルからも聞いた。


それは、分かってる。


Aliceのルールを破ったウルノを殺すことも、それが彼らの任された仕事だということも、分かってる。


だけど。


なんで。


だけど、なんでそんなに目が冷たいの。