その日の23時。


食堂。


まるで集会が始まる前のように、ざっと見てほぼ全員といえるほど仲間がいた。


まぁ、もともと人数少ないから、すぐに人集まるんだと思うけど。


そして、ここには何故かジルたちの姿が見当たらない。


彼らならすでに来ていると思ったのに。


どうしたんだろ。


「今まで通りになんないかなぁ…」


ふと、私の隣にいるアルが祈るようにポツリと言った。


「それは難しいかもしんねえな」


さっきまで後ろにいたラガーがポケットに手を突っ込んで、遠くを見て小さく言う。


「……なんで?」


「なんで?って……俺の勘?」


彼はワザとらしくキョトンとした表情を浮かべ、私たちを見る。


「真面目な話してんだけど」


少し苛ついたアルの声音が低く響き、彼と彼女が睨み合う。


…睨み……いや、違う。


彼女は懇願するような表情で、彼はそれを拒む表情。


「………………………」


「………………………」


「………………………」


「………………………」


「…俺の本音はー……お前には気分良くねえと思うんだけどな…」


彼女から目を逸らして、折れたラガーが目を落とす。


「…分かってる」


「………………………」


アルの言葉にラガーが息を吐き、再び遠くを見た。


「俺は別にあいつらがプロヴァーレだろーが、そうじゃなかろーが、正直どっちでもいい」


「………………………」


「ただ、前みたいにバカしてんの見たり、一緒に任務したりしたい」


「…………………………」


「俺はそう出来るかもしんねーけど、前からあいつらをよく思ってない奴らもいるし」


ラガーがチラリと横目でリャノを見る。


「今回の件でその溝がなんやかんやで深まった。そう簡単に元に戻るとは思えねぇ」


彼はそう言い、目を伏せた。