そんな彼はあの後、祖母と思われる女にそそくさと手を引かれていってしまった。
―—なんだ?
その際に彼女は「関わったら殺されるわよ」と彼に耳打ちし、まるで化け物を見るような目で私を見ていた。
いくら私が男に見えるからって、シツレイな。
そんなことを思いながら、私は初めてAliceの建物の中に入ったように、ものすんごい量の数の階段を上ったのだった。
中に入ると、消毒液の匂いが鼻をかすめた。
そして私はそのままソンジュさんの部屋に行く。
紙に書いてたら移動するときに無くなってしまいそうだったので、報告書をメールで送り、それがソンジュさんに届いたか確認するのと、私がここに戻ってきたという報告をするためだ。
「コウガおかえりー」
彼の部屋に入るなり、書類にハンコを押して何やらせっせと仕事しているソンジュさんが言った。
「た、ただいま…?」
「報告書見たよー。作文能力上がったねー」
「あ、りがとうございます?」
「……あれ、どったの。そんなキョトンとした顔して」
彼が顔を上げて私の顔を見る。
「え、いや、どったのって……」
私は狼狽える。
「なんで私がここに来ること分かったんです?」
確かに私は最期の報告書に、これから帰ると書いたが、日にちは書いてない。
それに私がここに入って来た時、彼は私の名前を言った。
なんでソンジュさんは私だと分かったのだろう。
「あー…なんかさ、プロヴァーレ探しが始まっちゃって」
「え」
「あー…えーっと……ウルノの件で」
「あ、ぁ…」
「だから不審なヤツ見つける為に監視カメラつけてーって言われてさー」
「……え…」
「もー何でそんなモン始まったかなー…」
彼は困ったように言い、頭をガシガシと掻いた。


