天を衝く槍



そして私は感傷に浸る暇もなく、任務に駆り出された。


任務中、ウルノのことを考えなくて済んだのは正直嬉しかった。


ボーっとすればするほど、彼のことを思い出すから。


そして今回の任務は一人だったり、途中から合流したりして、Aliceには戻らずそのまま次の任務場所に行ったりした。


そんなことを繰り返してたので、私がAliceに戻った時にはあれから一か月は経っていた。


「………………………」


なんとなく、私は地下水路の入り口ではなくAliceの正面玄関のに続く道を歩いて帰ってみる。


「ねぇねぇ!」


その途中に、袖を後ろから掴まれて、私は呼び止められた。


振り返ると、そこには小さな男の子が私を見て目を輝かせていた。


「その印ってありすの戦士だよねぇ!!?」


彼は私の左胸にあるヘビと月のマークを指して言った。


「そうだよ」


キラキラ輝くその子の目の中に映った私が微笑む。


彼女は黒のパンツに膝まである編み上げブーツ、赤と黒のボーダーのタンクトップを着ていて、その上にまた黒いジャケットのようなものを羽織っている。


きっと牡丹でとめたら全身真っ黒だろう。


だけど所々汚れていて、糸が色んな所からほつれていたり、穴が開いていた。


一体いつから繕っていないのだろう。


黒い布にこびりついた赤がたくさんあって、人間の血のように変色していない。


いつの間にこんなにボロボロになったのだろう。


よく見れば髪も伸びてボサボサだ。


「………………………」


―—ひどい


これはひどい。


「僕もお兄ちゃんみたいな戦士になりたいなぁ…」


そんな私を余所に、彼は羨ましそうに私を見上げた。


「………………………」