「甘ぇよッ」


「ぅわっ!!?」


カンッという木と木がぶつかる乾いた音と、ジルとギルの声がした。


そしてそれを真剣に、まるで二人に足りないものを探すように見ているヨースケが目に入る。


どうやら向こうは向こうで真剣にやってて、こちらの話など眼中になさそうだ。


私はそれを知って少し安心した。


「………………………」


だけど。


「………………………」


何故か、鼻が痛い。


なんでなんだろう。


目尻が熱い。


息が上手くすえない。


「………は…っ…」


私はその場で右手の甲を目と鼻の間においた。


私の頬に涙が伝う。


「……だめだな………私……」


そう言う自分の声音は自嘲じみたようだった。


―—結局


アルのためだとか言って、彼の心に土足で入りこんで追い出されて。


彼女の名を出せば教えてくれると思って。


結局、自分が知りたかっただけじゃないか。


人のためだとか言って、結局、自分ためじゃん。


―—嫌いだ、こんな自分