天を衝く槍



―—ガタ?


なに、それ。


「そっか、あれからもう5年は経ってんだもんなぁ…きてない方がおかしいか」


一人で勝手にぶつぶつと言うキール。


な、に?


ガタって何?


「黙れよ」


ギルが低い声で唸る。


まるで知られたくないことを隠すように。


そんな彼を見て、キールはキョトンとした。


そしてすぐにまたニンマリと、不気味に歯を見せて笑う。


「言ってねえんだ?」


「黙れよ」


ピリピリとギルの周りで、殺気がうずめく音がしたような気がした。


実際、空気は揺れていない。


だけど、そんな気がした。


「そりゃ、言えるわけねえよなぁ」


キールはニタニタしながら尚もギルを煽る。


「黙れよ」


彼のナイフを握る手が震えていた。


―—怒りか、恐れかは分からない


「あぁぁあ忘れてたー!!!」


私は出来る限りワザとらしく声を張り上げずに、本当に思い出したかのように声を張り上げた。


「「!!?」」


ギルとキールが目を見開いて、何事たというように、バッとこちらを見る。


「ぎ、ギル!!!」


私が彼を呼ぶと、彼は更に驚いたような表情を見せた。


さっきまでの怖い顔の面影なんてどこにもない。


―—ただ、


「今日そういえば、ソンジュさんがなるべく早く帰ってきてって言ってたの、今思い出した!!!」


「え」


ナンダト!!?とでも言いたげなキールの顔が可笑しくて、笑いそうになるのを堪える。


「あぁぁそ、そうそう!!!やっべすっかり忘れてた!!!よく思い出したな、コウガ!!!」


ノッてくれたギルの腕を掴んで、私はダッと走りだす。


―—早くここから抜け出さなくては、と考えた


「え!!?」


急にいなくなる私達を見て、キールはテンパったようにアタフタしだす。


そんな彼をギルが尻目に見て、してやったというように口角を上げた。


「え、ちょ、エェエー!!?」


そんなキールの声が、響いた。