「コウガ、前ッ!!!」
ギルの切羽詰まったような声が聞こえた。
-----ガッ
そしてすぐに顔面に走る激痛。
特に鼻。
「いったー…」
気付いた時にはもう遅かった。
私は顔面にブチ当たった木を涙目で見ながら鼻をさする。
あ、鼻血出てきたかも。
「どしたー?珍しいじゃん、ボーっとしてるとか」
ギルはからかいながら、鼻血出てんだろと、何処からか取り出したティッシュを私に渡す。
……おお、すごい…。
「あ、りがとう」
ハンカチとか持参してなさそうなギルが。
トイレとか行って手を洗って自然乾燥しそうなギルが。
ティッシュを持参していた。
そのことに驚きながら私はお礼を言い、それを鼻に詰める。
いや、ギルがハンカチ持ってないとかただの偏見なんだけど。
「あ、そういえばさ―—」
不意にギルが言いかけた言葉を飲み込み、訝しそうに西の方角に目をやった。
ザワワ…と風に葉を揺らされながら木が唸る。
「来るよ。たぶん改造されたヤツが」
そして彼は不敵に口角を上げた。


