「もう一遍言いてみいや、ハゲ」
突然、ヨースケの方からドスのきいた声が聞こえた。
「あ?」
ジルが気怠そうに彼の方を向く。
「さっきの取り消せえや」
「事実だろうが」
な、なんか二人の間にピリピリする空気が。
そういえばシロさんと私が初めて会った時、ヨースケはシロさんの幼馴染だと言っていた。
やっぱ長く一緒に居る人を侮辱されたことが許せないのだろうか。
ヨースケが彼にあこがれを抱いているのなら。
彼が強いのなら尚更。
暫く二人のにらみ合いが続いて、私がゴクリと固唾を飲みこんだ時、不意にヨースケと目が合った。
あまりの眼力に私は体を強張らせる。
「あーも~、ジルの顔こっわいでー。コウガなんかビビりまくっとるやん」
「へ!!?」
いきなりそう言って私の背中をバシバシ叩いて、はっはっはと、いつものように笑い出すヨースケ。
一体何があった、ヨースケよ。
てか、私がビビったのはジルの顔じゃなくてヨースケの顔なんだけどな。
とか思ってジルの方を見るけど、彼もキョトンとしていて状況がつかめないというような表情をしていた。
「……あれか」
「…………………」
そして笑うのを止め、急に真面目な顔をしたヨースケが確かめるようにジルに聞いた。
ヨースケはその無言を肯定ととらえたのだろう。
「ごめんなぁ、コウガ。こっから男同士、腹割って話すさかい。ちぃっと席外してくれへん?」
そう彼は申し訳なさそうに私に言った。
そして私が外へ出ようとしている時、格の違いは厭やなぁ…と悲しそうにヨースケが言う姿が目に映った。


