「あ、ここにいたか。二人とも」
ジルが部屋に入ってきて、私たちを探していたような口ぶりで言う。
「……で、ソンジュさんからは?」
ヨースケは頬にあるガーゼを取りながら言う。
「完治させて帰って来い、だと」
聞いているのか聞いていないのか分からないけど、ヨースケは頬にある小さな傷を触りながらジルを見る。
「ジューシローは?」
「一般病棟に移れるようになったらAliceに移動するって」
「なるほどな」
「で。何がどうなってんだ」
ジルはこの部屋の扉を閉め、イスを取り出してヨースケの近くに座った。
「ここ、個室でえがったな」
周りを見渡して、ヨースケが苦笑する。
一般人には聞かれたくない話だから。
「キールが勝手に喧嘩吹っかけてきた。ただそんだけやよ」
「それは分かってんだよ」
はぁ…とジルがため息を吐いた。
「…これの報告はジルがするモンじゃないで?」
ヨースケは飄々とした口調で言い、彼を試すような笑みを浮かべる。
「それも分かってんだよ。シローに聞きゃあいい話だろーが、あんな状態じゃ聞けっかよ」
ジルは苛ついた口調で言い、頭をガシガシと掻く。
「クソッ。シローがあんな奴に負けるとか思ってなかった」
彼は舌打ちをして窓の外を見る。
そんな彼の横顔には悔しさが滲み出ていた。


