こんなもんじゃ死なないとは思うけど、私はチラリと地面に叩きつけられた男を見てジルたちの元へ行った。
「おう、コウガ。ジューシローの手当てしてくれん?出来る範囲でええけさ」
ヨースケは、私にそう言い、ジルが背負っていた人を私の背中に乗せようとする。
「あ、はい」
彼の背中にいるのは、グッタリしていて顔色の悪いシロさんだった。
前髪で隠れている為、どんな表情をしているのかは分からないが、大きな怪我をしているのは確かだろう。
頭から顔の方に血が垂れている。
彼がこんな状態になるなんて、初めて見た。
「助かるわ」
ヘラヘラしながら言うヨースケだけど、彼の体にも無数の痛々しい傷があった。
丈夫なはずの服が破け、血を吸って赤黒く、更に黒く、変色していた。
「…で、どういうことだ。これは」
私の背中にシロさんを乗っけて、険しい顔をしたジルが言った。
意外にもシロさんは軽かった。
いや、こんなもんか。
だって私人間じゃないし、重いものなんて軽々持てるし。
でも流石に10トンのものは無理だったけど。
いや、でもこんなに軽いのか?
「そんなん言われても知らんがな。なんか急に現れて、急に攻撃してくるし。ほんま、意味分からん」
悶々としている私を余所に、ヨースケは呆れたような表情でジルの質問に答えた。
「まぁ、直接聞きゃ分かるか」
ジルはそう言って男の元へ行ってしまった。
「ばっ、馬鹿!!!」
ヨースケはかなり焦った表情を浮かべてそう言い、彼もジルの元へ行った。
それからすぐ、私は任されたことにとりかかった。
手当ての仕方は前にヨースケに教えてもらったから分かっている。
シロさんを仰向けにして、傷を見た。
「!」
―—これは…
私はシロさんの髪をのけて、その傷を見て目を見開いた。
右端の額が抉れ、左目が潰れている。
ひどいというどころじゃない。
私は眉間にシワを寄せた。
左目の傷はもしかしたら脳にまで広がっているのかもしれない。
「っ」
ここで私が出来るのは止血くらいしかない。
それしかできない自分に腹が立つ。


