天を衝く槍



「俺らがいない間、なんかあった?」


私の隣にいるギルが、見えなくなった船を見ながらソンジュさんに聞いた。


実は、私とギルは任務に行っていた為、2週間ほどAliceを空けていたのだ。


帰ってきたのは昨日の夕方だし。


「あのね、」


彼は神妙な面持ちで口を開く。


「8日前、任務に出てたラガー、ダラナ、ウルノが瀕死の状態で発見された」


「!」


ギルの息を飲む音が聞こえた。


息が一瞬、止まる。


なんで、ラガー達が。


なんで。


「瀕死って…」


それを聞いて私は驚愕した。


ぐるぐると頭の中が回る。


「どういうことだよ」


ギルが眉を顰める。


「油断してたのか?」


「いや、ラガー達を襲ったのはウサギなくLunaだ」


「は?」


少しかすれたような声を出して、ギルは信じられないというような表情を見せ、私はゴクリと唾を飲んだ。


ソンジュさんの目の奥が光る。


「任務中、危険だと感じたら任務を放り出しても構わない」


「!」


ギルはその言葉に心底驚いたように目を見開く。


「それでもいいから、生きて帰ってきて」


ソンジュさんがそう言いきった顔には悲しさしかなかった。


そして彼は、職務があるからと、一足先にエレベーターに乗って行ってしまった。


「………………」


「………………」


「………………」


「………………」


「……ったく、無茶言うよなぁ…」


短い沈黙の後、ギルが自分の前髪をクシャクシャして、今にも泣きそうな声音で言った。


「全く、『任務が第一』っていう考え方の枢要所を敵に回すとは…ソンジュさんらしいよ」


そして彼はフッと笑い、切なげな眼を私に向けた。


「さて、と。中入ろうか、ここ冷えるから」


珍しくギルがエスコートしてくれて、そして私とギルは再びトレーニングルームに向かった。


ギルがソンジュさんの話を聞いてから、ムシャクシャしてたのは彼が醸し出す雰囲気で分かってた。


だから私は、ギルのストレス発散がてら手合せに付き合った。


その後、ラガー達が気になったので行ってみると、思った通り体にたくさんの管がつながっていた。


ダラナとウルノは片足と片手を骨折してて、小さな傷を作っていただけだった。


だけど、ラガーだけ集中治療室にいた。


正直、ファラオがベットに寝ているのかと思った。


それくらい包帯でグルグル巻きになってて、あの二人よりもたくさんの管につながれていた。