当然のことながら、仲間を殴られた方は私を叩きのめそうとする。
私はそれをサッと躱してまとめてコテンパンにしてやった。
人生初のケンカを勝利したのだった。
よっしゃっ。
それから私が噴水から出て、ビッショビショな服のまま自分の部屋へ帰ろうとした時。
「…シロさん?」
何故か彼がロビーにあるイスに座ってて、私の姿を見つけると待ってましたと言わんばかりに、自分の隣に座るよう促す。
イスの前にあるテーブルには、何故かコットンと消毒液とガーゼと包帯が置いてあった。
私が座ると彼は無言のまま、ドバドバと消毒液をガーゼにたらし込み、それでさっき殴られて怪我になっているところに押し付ける。
「いッ」
消毒液が口元の傷口に滲みて、その痛さに身をちぢこませた。
めっちゃヒリヒリする。
そんな私をシロさんは冷めた目で見ていた。
そんくらい我慢しろよ、とでも言いたげな表情で。
そして彼は私の顎を掴み、再びたくさんの消毒液を含んだガーゼを傷口に押し当てた。
「…………………」
シロさんがこんなことしてくれるなんて思ってなかったから、すっごく嬉しいんだけど。
すっごく嬉しいんだけど、近いな!
鼻息かかりそうで怖い。
そんなことを思いながら真剣に手当てしている彼の顔をまじまじと見る。
なんか、眠たそう。
というか、何でこんなん持ってんだろう。
気になるけど。
「痛い痛い痛いイタイ痛いいたい!!!」
シロさんはそのガーゼでゴリゴリと傷口を拭く。
「あ、血が…」
私が彼の手を掴むと、彼は傷を見てそう言った。
だろうね!
たぶん、きっとたくさん出てると思うよ、あんなにゴリゴリしたら。
「我慢しなよ、これくらい。どうせ明日には治るんだから」
シロさんはそう言いながら私の傷口に絆創膏を貼った。
そして他に手当てする場所がないかどうか見る。
「はい、終わり」
他にする場所がなかったのか、彼はそう言って微笑んだ。
「あ、ありがとうございます…」
なんか今日よく笑うな。
とか思いながら、照れくさいので少し視線を逸らしてお礼を言う。
私のためにしてくれたのは嬉しかったけど、昼間のことを思い出して少し萎えた。


